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もうきっと、叶わない恋……
「……もぉ、莉緒」
いきなり抱き締められて、びっくりする。
「悠馬さん、人が見てる」
街路樹が悠馬さんの背中の向こうに見える。その葉が夜風に揺れている。まばらに見える星空。
「気にしない」
わたしの顔がすっぽり、悠馬さんの胸に隠される。
そんな表情しないで―― 悠馬さんが囁いた。
それがあんまり優しく響いて、やっぱり泣きそうになる。おでこがコンッて触れ合った。わたしの背を抱く手に力が込められる。
「え…… 」
かすめるくらいにそっと、触れ合った唇。
「悠馬さんってば」
困って小さな悲鳴を上げたわたしに、悠馬さんはクスクス笑った。
「泣いたらキスする約束」
そんな約束してない。思わずつられてまた笑ってた。
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