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「うわ、大きいな」
お風呂からあがって波旬の部屋に行くと、部屋の真ん中にキングサイズのベッドが設置されていた。こんな所で毎日寝ているのか、本当に凄いんだなお金持ちって。部屋の広さも異常だ。寧ろ移動に疲れそうなレベルで広い。
苺摘は恐る恐るベッドに片足をかけた。
「ふかふかだ…凄い…」
「普通だろ」
感動している苺摘に対して、波旬はクールにキメている。しれっと育ちの違いを感じさせてくる。
「彼シャツか」
「ん、何か言った?」
波旬がボソッと小声で何かを言った。それが苺摘には聞こえなかったらしい。
苺摘は波旬から借りた白い寝具を身にまとっていた。滑らかな生地のそれは、触り心地のとてもいいもので、光沢感のある布で出来ていた。若干、サイズが大きいのか、苺摘の手は指先しか出ていない。
「良い子で待ってろよ」
そう言って波旬は苺摘の頭を撫でると、部屋から出て行った。
取り残された苺摘は、する事も無くベッドの上でぽつんと座っていた。
この部屋で1人になってしまった。
なんでか寂しい。でも安心する。
振り返った先には枕があった。なんとなく、ぼふっと枕に頭を突っ込んでみたけれど、とても柔らかくて気持ちがいい。久しぶりに安眠出来そうなくらいだった。
「このまま寝れそう…」
悩みがあるせいなのか、ココ最近ずっと眠い。苺摘はそっと横になると、波旬のベッドでゆっくりと眠りに落ちた。
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