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波旬と夕飯を食べながらたわいもない話をして過ごしていたら、もうすっかり寝る時間帯になっていた。
風呂に入ってベッドで仰向けになってぼーっとしていると、俺の後に風呂に入った波旬に腕を掴まれてそのままベッドに縫いつけられた。
「ちょっと、波旬!離せって…!」
頭の中で警鐘が鳴っている。
これは確実に何か良くない事が起きる。
苺摘を見下ろす波旬の目の色が濁っていた。
「苺、何で俺の事忘れちゃったの?監禁したのがいけなかった?もう許してくれたじゃん」
「忘れてなんか…」
「朝起きた時から気付いてた。苺摘は俺の事を忘れてる。苺摘の事なら、手を取るように俺は分かるよ」
「…は?」
この状況も十分おかしいが、苺摘はとある単語に焦点を当てた。
俺を監禁…?何をしてるんだこの世界の波旬は?!パニックだった。
「違う、覚えてない。なんで俺を監禁なんか…!」
どう対応すれば正解なのか分からない。それに、何よりも波旬の表情が怖い。顔がガチだった。監禁とかいう危険ワードを放っておきながら、全く反省をしてなさそうなのが目に見える。
「好きだから」
「だからって、俺を監禁したのか…?」
「そうだけど」
好きだからって何をしても良い。そう思っている様子だった。この世界の波旬はとんでもない変態だ。苺摘は確信する。
少し考えているうちに波旬の顔がどんどん近付いてくる。これから何をされてしまうんだろう、怖くて怖くて仕方が無い。
苺摘は拘束された腕を必死に振りほどこうともがいていた。
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