第5章

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彼は決まって2週間毎に私の部屋に来ていた。平日なので夜に来て朝に帰っていく。 食事もホテルにも行かない。 西村さんは私とセックスする為だけに部屋にきている。 完全に都合のいい関係…なぜこんなことになっているんだろ。 裸で抱き合っているといつも付けているネックレスのチェーンに見たことのない新しいチャームが揺れているのを見つけた。 「それ、どうしたの?」 「ん?これ?買ったんだよ」 自分でじゃないよねって言いたかったけど言葉を飲み込む。 聞いたってホントの事は言いっこない。 猫耳との楽しそうな掛け合いを思い出して憂鬱な気持ちになる。 そもそも西村さんと私は共通点が少なく、お互い自分からガンガン話しかける方でもない。 話すことがないのだ。 ふと考える。話す事がなければ無理矢理にでも作ればいいのではないか。 もし2人で旅行に行く事になったら? 行くまでには嫌でも計画を立てるため話し合わなければならない。 そして旅行に行ったら西村さんとの絆も深めるのだ。 「ねえ、京都に行かない?」
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