第5章

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「京都?んー、予定が合えば…だな。」 「うんうん、予定調べといて。京都に行ったら抹茶パフェ食べたい。まだ紅葉には早いけど清水寺の二年坂も散策したいな。」 おぉーなんか恋人同士の会話みたい。いいぞいいぞ。 「ん、明日早いし俺寝るわ。」 「うん、おやすみなさい。」 シーズンが外れてると言っても京都はいつも人気でホテルも旅館もすぐ埋まってしまう。 なるべく早めに宿は確保しなければ。 明日から京都観光のプラン立てようっと。 ウキウキしながら眠りについた。 次の日、早速るるぶを買い込み(アナログw)スマホと睨めっこして計画を練る。 新幹線のキップは…当日でも間に合うかな? 宿の予約は早めにしたいなぁ。 我慢にガマンをして3日後に西村さんに電話した。 「予定わかった?」 「んー」 「9月の第一週はどう?土日は休みだったよね。」 「んー」 「そこが大丈夫そうなら私も休暇願い出すよ。」 「んー、大丈夫じゃない?まだわからないけど…」 煮え切らない返事だけど、一応大丈夫か。 「じゃ、ホテル予約しちゃうよ。ダメだったら連絡してっ!」 「わかった。」 そしてそれ以後、一切連絡が取れなくなった…。 通話は音信不通、ラインは既読スルー。 最初は仕事が忙しいのかな?と呑気に構えていた。しかし旅行3日前になってもなんの音沙汰もない。 さすがにおかしいと思ったがいつ連絡が来るかわからなかったのでホテルをキャンセルすることもできなかった。 旅行前日…やっと現実が見えてくる。 もう連絡はこない。 初めから行く気なんてなかったんだ。 じゃ、なんで大丈夫そうだとか言うの?なんで、行きたくないって言わないの? 亜子の「あいつはクズだよ。」って言葉が蘇る。 西村さんはたぶん、わたしの立場だったらとか考えないのだろう。 めんどくさいから適当に返事をして、断るのもめんどくさいから連絡を絶った。 もう、どのみちキャンセル料は払わなきゃならない。それなら1人で京都に行こう。
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