プロローグ

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 この時間帯は2人のアルバイトで店を切り盛りするのだが、ちょうどもう一人の姿が見えない。きっとバックヤードで何か作業でもしているのだろう。タイミングが悪い、と思わず舌打ちしそうになる。  こんなにたくさんの荷物をいつもどこに送るのだろう。と不思議に思ったが、ここ数年こういった客は増えているらしい。  きっかけはひとつのアプリだった。達也も何度か利用したことがある。  そのアプリは、世間でいうところのフリマアプリに区分される。日常生活で不要になった物等を売りに出す人、そしてそれを購入する人。その橋渡しとなり、配送手続きから料金の払い込みまでをアプリの運営会社が受け持つ。売りて側はこの女のように、決まった包装で最寄りのコンビニや郵便局から発送するだけだ。  発送が完了すると、売上金から手数料等を差し引いた金額が振り込まれる。たったそれだけの仕組みなのだが、売り手も買い手も気軽にスマートフォンから利用でき、煩雑な手続きもないことから、若者の間ではなかなか流行っている。  おそらく小物や衣類を主に売り出しているのか、女の持って来る段ボールはほとんどがサイズの割に軽く感じるものだ。  なんにせよ、こんな面倒な手続きはあまりしたくないな。  そう毒づきたくなる気持ちを堪えながら、達也は淡々と手を動かした。
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