他人のはずでした

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高校時代の同級生、でもクラスは一緒になったことない。クラブも違う。ただ、通う高校が同じだった。 別の大学に進学した。彼女は芸術系、私は文学系。真逆の方向にあり、彼女は県内、私は県外。 うちにはWi-Fiがある、彼女の家にはない。彼女はiPhone、私はAndroid。返信が遅い彼女と早すぎる私。 真逆なことが多い2人。 辛いものが大好きな彼女と全く食べられない私。 身長の低い彼女とヒールを履けば170センチを越える私。 エキセントリックなものを好む彼女とシンプルイズベストな私。 人見知りな彼女と猪突猛進な私。 こんなにも違うのに、私たちは何故、心細くなったときは互いを思い出し、会うのか。 たいした喧嘩もなく、互いの人生の上澄みを交換し合い、かき混ぜては侵食するのか。 真逆だからこそ、パズルが手と手を繋ぐように、隙間なく寄り添うのだろうか。 はじめは他人のはずでした。 いつしか仲良くなり、私は月に何度も会っては言葉を体にぶつけ、考えを擦り寄せて馴染ませて、彼女を私に仕上げる。 彼女もスマホを通して指先で言葉を浸透させ、私の目から情報が入り、体に雪崩れ込んでは思考を吸収する。 それでも私たちは別を行く。彼女が右なら私は左。 示し合わせなくても、必ず違う道を歩き、違う経験をし、違う景色を見る。それは当然のはずだった。 いつの間にか辛いものが食べられるようになった私。交遊関係が広くなった彼女。 一番似ていない二人が、そっくりになっていく。 ニコイチ?相方?ずっととなりはあなただけ? 違う。 私は貴女になり、貴女は私になる。
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