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たまに見かける桜ちゃんは、
女の子とふたりの時もあれば
何人かでいる時もあった。
だけど、
その中に秋ちゃんの姿を
見ることはなかった。
一度だけ、
わがままを言う女の子を
置き去りにする桜ちゃんを見かけた。
何があったのかはよくわからないけど、
「うざ…」
「桜理ごめんね。もう言わないから」
「もう二度と俺の前に現れないで」
「ヤダ…ごめん…桜理ごめん…」
そう言ってしがみ付く女の子の手を
冷たい顔をして振りほどいた。
「もう無いわ…さよなら」
そう言って…。
冷たい目、冷たい表情が
脳裏に焼きつくほどに…。
優しい桜ちゃんが、
女の子に冷たい態度をとるなんて…
私には信じられなかった。
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