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「おい、起きろ、新月」
思いっきり柔らかいお餅のような白頬っぺたをつねって引っ張る。
「痛いです。鬼SE。今日は早い帰社ですね。ごゆっくり外回りをなさったら良いのに」
紅くリンゴのように腫れた頬っぺたを摩りながらパッチリ目が覚めた社畜女。
社畜女の前と横にあるデスクトップパソコンの電源を入れる。
深夜まで働かせるから、餌でなく夕食代わりに社畜女にコンビニのおにぎりとサンドイッチと栄養ドリンクを渡す。
「いつもありがとうございます。高瀬さん」
こういう時だけ、俺の事を名字で呼ぶ。
いつもは『鬼SE、鬼畜SE』という癖に、ちゃっかりしている。
ちなみに俺も、抑えてるが社畜女がやらかした時は、普段『新月』と名字で呼ぶのが、『社畜女』と怒鳴ってしまう。
最近は社畜女が俺に逆らわなくなり、立派な社畜化してるから、本人の前では『社畜女』とは言わなくなった。
心の中では言ってるが
社畜女は寝てたのもあり、ダサいブルーライトカットの眼鏡を外して、俺が買ってきた餌でなくサンドイッチをハムスターみたいに頬張った。
可愛いなとついつい見てしまう
この顔はほかの男には見せたくない。
パーテーションで仕切られているから見られる事はない。
色素の薄い茶色かかった瞳が美しい。
瞳を守るためにダサ眼鏡をかけてる社畜女。視力は悪くないらしい。
餌タイムでなく、夕食を食べさせたら眼鏡をかけたのを見て、俺は鬼畜女が仕上げたシステムとソフトウェアの動作を確認していく。
今日も完璧に仕上げてる
さすが、プログラミングの才女
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