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【運命】
それは、突然だった。
今日から社会の一員だっ!と、気合を入れて、混雑する電車に乗り込んだ。
こ、これが大都会の通勤、毎日、続くのか...。
電車に乗り込んで3分。
既に心が折れそうな俺は、同じように深いため息をついている人間の存在に気付いた。
そいつは、俺の横にいて【運命の番】だった。
は?
はい、これを何回も説明してもみんなに言われる言葉。
「は?」「...ふざけてんの?」
ふざけてなどない。
あ、【運命】じゃんっ!って、お互いがビビッて気づいて、すぐに次の駅で降りた。
まるで示し合わせたかのように各々が駅のホームで会社に事情を説明する。
『...すみません。【運命】に出会いました』
新入社員、出社1日目。
まだ、会社に足を踏み入れてない段階で『...とりあえず、今日は休みます』といって会話を終えた。
社内は大混乱。
だって、俺と同じ会社の人間だったからだ。
俺はエリートコースであるアルファ枠で会社に入り、優秀なオメガを望む会社が設けたオメガ枠に彼がいた。
よって、今日、入ってくるはずだった新入社員の2人が【運命】で早速、会社を休み大混乱。
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