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「仕事とは全く関係ない話なのですが、こちらの都合で申し訳無いですが、わたしと結婚して下さい」
大島社長が後ろに隠し持っていた薔薇の花束をわたしに差し出し、はにかんだ笑顔を向けてきた。
「あの…、意味がわからないのですが。なぜ、わたしと結婚するんですか?」
大島社長から薔薇の花束を受け取るも、突然の申し出に戸惑うわたし。
わたしは何処ぞの御令嬢では無い。
一応、京都の華族の家系らしいが分家で、もはや一般階級の人間だ。
「私の父方の祖父と貴方の父方の祖母が昔恋仲で、祖父が会社のための政略結婚で結婚が叶わず、それで、孫の代で結婚させようと口約束をしたそうです。
先月、祖父が亡くなりました。
遺書によると貴方と結婚した孫に、大島建設の株式の60%を相続させ代表取締役社長とすると書いてありました。
男の孫は私以外にも2人いますが無能なので現在は私が代表取締役社長をしてます。
正式に代表取締役社長になるには貴方と結婚しないといけません。
なので、私と結婚して下さいませんか?」
大島社長がわたしに、結婚を申し込む事情を話してくれた。
大島社長の祖父とわたしの祖母の口約束で意味のない結婚をさせようとするなんておかしい。
一般階級のわたしと結婚なんて会社のためにはならないのに。
「それって、わたしが断ったらどうなりますか?」
「代表取締役社長は祖父の側近だった取締役の孫に譲る事になります。だから、なんとしても、私と結婚して貰います」
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