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結婚します
「わたし、蓮社長と結婚します。籍を入れて、遺産相続の手続きが終わるまでは夫婦になります。
わたしの戸籍にバツがつくぐらい、どうだったっていい。
桐島取締役みたいな人に、大島建設の社長になるのが、許せない」
蓮社長と桐島取締役が睨み合う中、わたしは、覚悟を決めて、言った。
桐島取締役は顔をしかめ、蓮社長は驚いたような顔をしてた。
「蓮社長、婚姻届と勝手に取り寄せたわたしの住民票ありましたよね。……役所に、出しに、行きましょう」
蓮社長は、わたしが、結婚すると言い出すとは思ってなかったようで、固まってた……。
少し、時間が経ち、蓮社長はわたしの方を見て、話し出した。
「凛子、いいのか。あんなに頑なに拒絶していたのに……」
「はい。形だけの結婚です。婚姻届を、役所に提出しに行きましょう……」
蓮社長の男性秘書が、いつのまにかいて、社長室に婚姻届を取りに行き、婚姻届の入った封筒を持ってきて、蓮社長に渡した。
「蓮社長、凛子さんの気が変わらないうちに、行きましょう」
男性秘書に言われ、蓮社長は、わたしの方を見た。
「美咲ちゃん、唯奈ちゃん、また、明日ね」
蓮社長と男性秘書と、オフィスビルを出て、男性秘書が運転する黒塗りのベンツの後部座席に、蓮社長と乗り込み、役所へ向かった。
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