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「僕も…透の幸せを願っているよ…」
俺の言葉の答えにはならない言葉に、ほんの少し胸が痛んだけど、それは万琴さんの本心だと思って、俺はこれ以上は未練が残って引きずりそうだと思って、荷物を持って足早に家を後にしたのだった。
「秋村先輩、プレゼンの資料ってこれで大丈夫ですか?」
「ん~、こっちの定番化している製品も入れておいた方がいいかも。新製品との比較にもなるし、定番っていう安心感も出るしね」
「なるほど!すぐに作成します!」
あれから五年経って、俺も三十歳まで後二年という年齢になった。
仕事も部下ができて、色々とやれることも増えていって、仕事の楽しさを感じられるようになった。
ただ、飲み会やいつも勝手にメンバーに組み込まれている合コンは苦手だ。
別に女子がダメってワケじゃないんだけど、やっぱり万琴さんの方がいい。
万琴さんに逢いたいな…。
そう思って五年も経っていて、俺何にもしてない。
仕事を言い訳にしながら、送ろうとして送れなかったメールは百件。
未送信ボックスには百件の百文字に満たないメールが溜まっている。
何度も消したけど、それでもまたメールを打ってしまうんだ…。
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