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送れなかった理由は、万琴さんがメアドを変えていたらと思ったから。
電話番号は分かるけど、話したいことがない。
話したら、声を聞いたら、余計に逢いたくなって、俺は今ある全てを捨ててしまうことも厭わないだろうから。
いつも昼食はコンビニのおにぎりやサンドイッチ。
夕食は出来合いの惣菜か店屋物、たまに外食。
万琴さんの手料理、凄く美味しかったな。
チーズフォンデュしたこともあったな…本当に楽しかった…。
メールを開いて、万琴さんにメールを送る為に文字を打つ。
『万琴さん、今もあなたを想っています。逢いたい』
百文字もないけれど、願いと想いは百以上の気持ちを込めた。
目に見えない気持ちは目に見えるようにすることは難しいかもしれない。
けれど、その気持ちは想いは本物だから、なかったことになんかしないでほしい。
届けと強く念じて送信する。
すぐにメールが返ってこないってことは…届いてるんだ!
それだけで嬉しくなってしまった俺は、今日のノルマをバリバリこなし、定時には余裕を持って会社を出るのだった。
「きちゃったよ…」
メールに返信は全くなかったけど、万琴さんに逢いたくて、かつて一緒に住んでいた家にきてしまった。
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