百の想いを繋げて…《透視点》

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何も考えずにインターホンを押す。 逢いたいということだけで頭がいっぱいで、指はインターホンを押していた。 『はい、どちら様ですか?』 最初に聞いた時と同じような優しくて柔らかい声。 「あ、東西運送です!お届けものです!」 『少しお待ちくださいね』 適当な嘘ついちゃったけど、これくらいしか思い付かなかった。 万琴さんの足音が聞こえて、ドキドキが最高潮に達して、心臓が破裂するんじゃないかと思うくらい痛くて、五年前はこんなことなかったのにと、自分の漫画みたいな純情っぷりに呆れてしまう。 「お待たせしてごめんなさ……透?」 「五年越しのお届けものです」 あ、万琴さん、髪切ったんだ…。 ショートカットの万琴さんも可愛くて、これはこれでアリだな。 「……あの受け取り拒否でお願いします」 「返品不可ですし、受け取り拒否はできないシステムになっています」 そう言って、万琴さんを別れた日と同じように抱き締める。 万琴さんは抱き締めて返してくれなかったけど、きっと混乱しているんだろうな。 「ダメだよ、帰って…。もう透は普通の幸せと普通の生活に変わったんだから…。僕のことは忘れてよ」
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