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クラスメイト達が変なやつだと噂しているのも知っていた。
彼と関わらない方が今後の平穏な学校生活を送る為に必要な事だと頭では理解していた。けど、それ以上に彼と話すのが楽しかった。
「……君、どうして僕と仲良くしようとするの? 僕と仲良くしたらいじめられるよ?」
ある日苦々しく彼が私に告げた。
面倒臭そうにしていることはよくあったが、と言うよりは面倒くさがらせているという自覚はあった。
それでも私は彼と話すのが楽しくて仕方がなかった。
「何で? 私は私が話してて楽しい人とお話してるだけだよ? 周りがいじめるいじめないとか私には関係ないから」
そう言い切ると彼は目を丸くした。
「……君、なかなか変人だね」
「良く言われる」
初めて彼が笑い声を漏らした。
瞳が柔らかく細くなり、その表情に私は思わず見惚れた。桜吹雪の中と一緒に風に乗ってどこかに消えてしまいそうなほど儚く柔らかい笑顔だったから。
こんな素敵な笑顔で笑うんだ……。
きっと、あの時私は彼に心を奪われてしまったのだろう。
あの日以来私は桜の木の下だけでなく学校でも事ある事に彼に話しかけた。
「……また、君か。暇だね君も」
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