5人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
大抵は、すねている時だ。
今もすねてるんだろうか。
街に写真を撮りに行くと言っただけでなぜすねる?
考え込む俺。
街がいけないのか?
静かな所に行きたかったのか?
定禅寺通りは道路の真ん中が遊歩道で、並木が延々と続いているから公園みたいなモンなんだけどな。
定禅寺通りがいけないのか?
あ、もしや。
「まさか、『裸婦像』が気に入らないのか?」
定禅寺通りで写真と言うと、恐らく誰もが遊歩道に立つ裸婦像と欅並木を撮る。
裸婦像、俺が女を撮りに行くからこいつはすねているのか?
「……うん」
不満げに返事をする森也。
俺は、無性にこいつをかわいらしく思った。
「あのな、裸婦像は撮るけど、俺は裸婦には興味ないぞ?」
笑っちゃう。
美術的には興味はあるが、性的にはなにも感じないよ、俺は。
いや、普通ああいう銅像に欲情しないだろ。
「俺が一番、興味あるのは森也だよ」
「……」
俺の言葉に再び黙り込んだ森也に、内心微笑みながら言葉を重ねる。
「森也のその変なかわいさ、今、絶好調に興味あるね」
「変な、ってなんだよ!?」
すねた顔から一転、軽く怒り混じりに言い返してくる。
最初のコメントを投稿しよう!