一緒にやろう

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 朝の八時。チュンチュンとスズメたちが鳴いている。  清々しい朝とともに、私と弟は、毎月一度ある、子供会の廃品回収の手伝いをする。  私も弟も、せっかくの日曜日なのに、明朝から早く親に起こされて、廃品回収をするために起きる。 「めんどくさいよー」  弟が、眠たい目を擦りながら、母にぼやく。  この頃の私たちは、まだ小学生の中学年と、低学年の弟で、重い新聞紙の束や、段ボールを抱えて、集会所の前まで自宅のマンションの前に集めた廃品を持っていかなければならない。  大人なら、距離として、徒歩五分、といったところだけれど、当時の私たちは小さく、そんな身体で、自分よりも重いような荷物を二人で運ぶのだ。  マンションには、他の子どもたちも住んでいたから、他の子たちも、大人の手伝いをしている。  よいしょ、よいしょ、と、弟と二人で、小さな手で荷物を運ぶこと、一時間。  私たちは、疲れてしまい、朝のまだ太陽の熱が低いときだとしても、汗だくになってしまう。  こんなこと、大人がやった方が早く済むのに。  私と弟は、いやいやながら、荷物を何往復もして、運ぶ。 「お姉、もう、嫌だ、めんどくさい」  弟が、辟易した様子で、集会所の前で座り込んでしまった。  私も、あとまだ残っている廃品の量を見ると、もうやりたくない。  そう思っていた。  マンションは三階建てで、九軒ある。九軒分の廃品の数は、しかも一か月に一回しかない、大型ゴミの廃品回収だから、まだ残っているのかと思うと、私も、またマンションに戻って、作業をするのが躊躇われた。  他の子どもたちも、同じように、「もうやだー」「つかれたー」と、愚痴をこぼしている。  そんなことをして子どもたちだけで、集まっていると、母が来て、 「今回はお母さんが会長なんだから、あんたたちくらいちゃんとしなさい」  と、叱責してくる。  私と弟は、母のいつも気にしている世間体に、また嘆息するも、母を怒らせる方が怖いと思って、とぼとぼとマンションへと戻った。  それから一時間使って、全ての廃品を集会所に集めることができた。  私と弟は、母がなにやら同じマンションの人と話ているのをよそに、 「もう、帰ろうか」  と、私が告げると、弟も、「うん」と言って、手をつないで帰ろうとした。  その時だった。
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