2#犬神の忠告

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 空がぱぁっと明るくなると、1匹の毛むくじゃらな犬の神様がゆっくりと降りてきた。  「神々しい・・・  あ・・・。あなたは・・・?!」  アクロエルは、目の前にいきなり現れた犬神に思わず畏まった。  「アクロエル・・・いや、アクロとエルよ・・・」  「ははーっ!!この度は、何度も私どもを何度も甦らせてくれてありがとうございます!!おかげで不死身な身体を!!」  アクロエルは、犬神様のふんぞり返って寝そべる側で何度も土下座した。  「不死身?ふっ!何いってるんだ?  本来、とても仲が良い君達のどちらかが車に轢かれて死んだのを、泣きながら嘆願したのを見込んで甦らせたんだよ?  余りにも何度も何度も何度も何度もどちらかが車に轢かれるから、面倒くさくて、君達アクロとエルを合体させたんじゃ。  ぷぷっ。でも合体したら、変な身体!!」  「??!」  「・・・あ、失礼。  では聞く。君達は何度生き返ったんだ?」  「えっ・・・と・・・いっぱい!!いっぱい!!」  アクロエル・・・アクロもエルも実は、数を数えるのがとても苦手だった。  「答えられないの?じゃあ予め、わしが草葉の陰でカウントしたのを教える。  ざっと99回生きかえっている精算じゃ。」  「ふーん。ふーん。」  アクロエルは、間抜け面して脚の爪で鼻糞をほじくった。  「おい・・・ちゃんと『恩犬』の話を聞け!!」  「はーい。はーい。」  「君達は後1回しか、生まれ変われない。要するに・・・次に死ねば、君達は生き返らずに一緒に黄泉の国行きだ。  いや、『無』になるんじゃ!!」  「む?む?」  「だ・か・ら!!『む』じゃ!存在自体が消えるんじゃ!!どちらの魂もこの世から消滅するんじゃ!!」  「消える?!消える?!」  アクロエル・・・アクロとエルは、身を乗り出して犬神に聞いた。  「うん!世の中から君達は消えるよ!!後は知らんから、もう死なない事だな。  じゃあなー!!くれぐれも、死なないようにな!!わんわんわん!!」  犬神はそう言うと、街路樹の中へ駆けていき姿を見せなくなった。  ・・・次に死んだら・・・  ・・・俺達、ホントにこの世から消滅するの・・・?!  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!