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空がぱぁっと明るくなると、1匹の毛むくじゃらな犬の神様がゆっくりと降りてきた。
「神々しい・・・
あ・・・。あなたは・・・?!」
アクロエルは、目の前にいきなり現れた犬神に思わず畏まった。
「アクロエル・・・いや、アクロとエルよ・・・」
「ははーっ!!この度は、何度も私どもを何度も甦らせてくれてありがとうございます!!おかげで不死身な身体を!!」
アクロエルは、犬神様のふんぞり返って寝そべる側で何度も土下座した。
「不死身?ふっ!何いってるんだ?
本来、とても仲が良い君達のどちらかが車に轢かれて死んだのを、泣きながら嘆願したのを見込んで甦らせたんだよ?
余りにも何度も何度も何度も何度もどちらかが車に轢かれるから、面倒くさくて、君達アクロとエルを合体させたんじゃ。
ぷぷっ。でも合体したら、変な身体!!」
「??!」
「・・・あ、失礼。
では聞く。君達は何度生き返ったんだ?」
「えっ・・・と・・・いっぱい!!いっぱい!!」
アクロエル・・・アクロもエルも実は、数を数えるのがとても苦手だった。
「答えられないの?じゃあ予め、わしが草葉の陰でカウントしたのを教える。
ざっと99回生きかえっている精算じゃ。」
「ふーん。ふーん。」
アクロエルは、間抜け面して脚の爪で鼻糞をほじくった。
「おい・・・ちゃんと『恩犬』の話を聞け!!」
「はーい。はーい。」
「君達は後1回しか、生まれ変われない。要するに・・・次に死ねば、君達は生き返らずに一緒に黄泉の国行きだ。
いや、『無』になるんじゃ!!」
「む?む?」
「だ・か・ら!!『む』じゃ!存在自体が消えるんじゃ!!どちらの魂もこの世から消滅するんじゃ!!」
「消える?!消える?!」
アクロエル・・・アクロとエルは、身を乗り出して犬神に聞いた。
「うん!世の中から君達は消えるよ!!後は知らんから、もう死なない事だな。
じゃあなー!!くれぐれも、死なないようにな!!わんわんわん!!」
犬神はそう言うと、街路樹の中へ駆けていき姿を見せなくなった。
・・・次に死んだら・・・
・・・俺達、ホントにこの世から消滅するの・・・?!
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