5:聖なる夜に、永遠の約束 5

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 ささやくような声が、熱を帯びていた。ミアは鼓動がさらに激しくなる。 「抱きたい」 「無理です!」  即座に答えたが、シルファはミアの真っ赤になった顔を見て、浅く笑う。 「聞こえない」  端正な顔を傾けて、シルファがミアの首筋に口づけた。ミアは「ぎゃ!」と色気のない声をあげる。 「せ、聖なる夜は、大人しく過ごす日なんじゃないの?」 「まだ前日だな」  シルファに喰われそうになりながら、ミアは室内の飾り時計を見て抗議する。 「もう当日になるのも、時間の問題だよ」  腕から逃れようと、ミアはぐっとシルファのたくましい胸板を押し戻す。 「わ!」  逃れようとするミアの力を受け流すように、シルファが姿勢を変えた。突っぱねていた腕が行き場を失う。勢いを殺しきれず、ミアはたやすく寝台に倒れこんだ。  起き上がろうとすると、シルファの手が容赦なくミアの肩を抑え込む。 「ちょっと待って!」 「待てない」  寝台にミアを押し倒して、じっとこちらを見下ろしているシルファの目が赤く光っていた。血のような真紅に染まった瞳。欲情に染められた証には、迷いのない欲望が滲んでいる。
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