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1:狼藉には天罰がくだる
コトコトと鍋の内で具材が躍る。ミアはそれを眺めながら火加減を弱めた。肉を煮詰めたありふれたシチューだが、蓋をする瞬間に立ち上った香りが食欲をそそる。
「よし。今日の夕食は美味しそうにできた!」
ミアは鼻歌をうたい、食卓に野菜を盛った器を並べてから、皿と匙を配置する。時計を眺めながら、この館の主のために赤ワインを用意した。
「間に合わないかと思ったけど、今日は遅いのかな」
近くの教会に馴染みになった司祭がいて、ミアは良く手伝いに顔を出す。今日は時間を忘れて子供たちと戯れていたために帰りが遅くなった。彼の帰宅に間に合わないかもしれないと、慌てて食事の支度をしたが、どうやら徒労に終わったようだ。独りで食卓について頬杖をつく。
住処を移すことが多いが、今は王宮のある市街地の外れに住んでいる。事務所と住居を兼ねた、こじんまりとした館。敷地は決して広くはないが、小さな庭もあり、彼と二人で過ごすだけなら充分すぎる住処だった。ここにやってきて、もうどの位経ったのだろう。ぼんやりと目の前のワインの瓶に映る自分の顔を眺めていると、裏口からバンッと荒々しい音が響く。
「え?――シルファ!」
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