4:赤眼の理由と甘美な夢

1/4
135人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ

4:赤眼の理由と甘美な夢

 温め直したシチューを皿に装いながら、ミアはさりげなく気になっていたことを口にしてみた。 「そういえば昨夜、シルファの眼が赤かった。前にも見たことあったけど、ちょっと吃驚しちゃった。どうして眼が赤くなるの?」  銀髪や紫眼は、マスティア王国では珍しいことではない。ちょっと通りを歩けば同じような人にすぐ遭遇する。この世界の環境は元の世界とさして変わらないようだが、人々の髪や瞳、肌の色には見慣れないものが多かった。  ミアはすでにシルファの容姿も見慣れているが、この世界でも、まだ赤い眼をした人には会ったことがない。血のような真紅の瞳。どんな動機で色が変化するのか知りたかった。  マスティア王国に根差している王家の始祖がヴァンパイアだという伝承。  当のシルファが人ならざる者の存在を否定するが、ミアは赤い瞳のシルファに、どうしてもヴァンパイアを連想してしまう。 「ーー前にも見たことがある?」     
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!