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アンケートによると、六十代以上は「引き継ぎ」「修了」の意向割合は五分五分くらいらしい。きっと、物心つくまでに植え付けられた倫理観の所為だ。
今の若者たちは、圧倒的に「引き継ぎ」希望が多いという。第二の人生を前提とした人生設計を考える機会が、義務教育中にあるそうだ。「引き継ぎ」の内、戸籍をどうするかは、若い世代ほど「そのまま」、上の世代ほど「新しくする」を選んでいるそうだ。
さてさて、そして私は、この選択を迷っている。言ってしまえば、「どっちもどっち」なのだ。
私には家族がいない。皆、100歳まで生きられなかった。伴侶もいたが、あのひとが54歳の時に病気で急逝してしまった。子供も授かれなかったので、私の家系は私を最後に途切れている。
何が言いたいかというと、私には、「私として長生きする」理由が無いのだ。
だから、完全な別人になって新しい人生を歩むのに、しがらみなんて気にしなくていい。地球から飛び立ち、宇宙コロニーで真っ新な人生を生きることだって出来る。そういえば幼い頃、宇宙に浪漫を感じていたなぁ。
…ただ、これといってやりたい事も無い。私の貧相な想像力では、やりたい事はやり尽くした。現実的に考えて諦めた事もあるけど、じゃあそれを今こそとは思わない。精神的な老いだろうか。
「折角ですから、一緒に考えてみましょうか?」
若槻さんがそう言うので、私は自分の「卒業後進路」を仮想してみることにした。
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