100の問い

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またある時は、女子が得意とする、“お弁当大目に作っちゃったんで、良かったら一緒食べませんか?”だ。 その時僕は既にサンドイッチを頬張っていたし、腹はそこそこ満たされていたのにもかかわらず、丸っと無視され、僕のデスクに広げられたお弁当…と言うかお重箱。 そこには色とりどりの美味しそうなおかずと、可愛らしい何かのキャラクターがぎっしり詰まっていた。 丁寧に切られた海苔は表情を作り、ハムや卵、チーズなどでキャラクターの髪や帽子、服などが彩られていた。 だが、残念なことに、このキャラクターについて僕は何の知識も思い入れもなく、そして腹は既に満たされていた。 ご丁重にお断りしても、「一口でも良いんですっ!」と無茶苦茶な事を言うので、キャラクターを模したおにぎりを食べようと手を伸ばし掴んだところで、【す】と海苔で書かれた文字を発見した。 僕はそれを食べず、【す】の文字が見えるように戻した。そして、他のおにぎりを持ってひっくり返すと【で】と文字が。 …おいおい、まさか、嘘だろ?そんな思いで全てのおにぎりをひっくり返すと、【すきです つきあってください】の文を発掘した。 「…あれ、バレちゃいました?」 頬を赤らめ下を向く椎名先生。その行動は可愛いらしいけど、やってる事、怖いからね?と言いたいのを飲み込み、お重箱を静かに閉じた。 その後、「ちっ。」と舌打ちのようなものが聞こえて、椎名先生は僕のデスクに広げたお重箱を片付けた。 それ以降、僕は自分のデスクでご飯を食べなくなった。
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