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「悪いけど、明日の割り振りから鳥飼抜いといて。確かあいつ、明後日シフト休みだったよな? ちょうどいいから、明日も休んで三日間で体調万全にしてこいよって俺から伝えておくわ」
「……わかりました」
「手の怪我のこともあんのに、放っとくと全然仕事セーブしようとしねーからさ。知ってた? あいつ、今年に入ってから一度も有休取ってねぇの。というか、今まで自分から申請だしたことほぼ無いんじゃねーかな」
「え……そうなんですか?」
『そ。だから毎年閑散期に、俺が無理矢理最低日数分休み取らせてんだよ。仕事熱心なのは感心だけど、休むとこは休めって佐野からも言ってやってくんね? まぁ……あいつは一日も早く、一人前の営業として頼られる男になりたいみたいだけどな、誰かさんに」
そう言って、私を見下ろしたまま呆れたように笑う小野寺さん。
「……っ」
待って待って。
一体、何をどこまで察しているの……?
「小野寺さんの超人伝説は、本物ですね……」
「あ?」
「いえっ、何でも。仕事に戻ります!」
小野寺さん……恐るべし。
鳥飼が尻尾振って慕う理由が、改めてよくわかる。
ホント、この人には……誰も敵わないと思う。
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