episode 5. 幸せのその先に

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根掘り葉掘り聞きたがるプランナー達を適当にあしらってようやく帰宅した頃には、閉館から二時間も過ぎていた。 「あ~、なんかすげー疲れた……。俺らのどこにそんなに興味があるんだよ」 「あはは! だって“グランマリアージュ迎賓館の超人敏腕マネージャー・小野寺さん”は、皆の憧れだもん。こうなると思ってたよ」 「それを言うならお前だって……バンケと厨房のあいつらが明日ちゃんと出勤してくるか、俺は心配だね」 「え? 何のこと?」 リビングのドアを開きながら、キョトンとした顔で見上げてくる美沙緒。 人の事はよく見ていてよく気づくのに、自分の事となると途端に鈍感になる。 そーゆうとこ、相変わらずだよな。 まぁ……余計なことは口に出すべからず。 「いや、独り言」 俺はそんな美沙緒の頭を撫でて、仕事用の口紅が引かれた唇に軽くキスを落とした。 「ふふ」 「なんだよ」 「ううん。私もしたかったんだーと思って」 そう言いながら、美沙緒は俺の腰に腕を回してくる。 一緒に暮らしはじめて8ヶ月。 美沙緒は、どんどん甘え上手になる。 とはいえ半分くらいは無自覚だから、俺のほうはたまったもんじゃない。
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