0人が本棚に入れています
本棚に追加
『ねえねえマリン、もうすぐだね?』
『うん。楽しみ。どんな人かな』
私はスマホの画面に気持ちを打ち込む。マリンこと私は、小学校からの親友、通称宙と一緒に動画投稿をしている。
宙が始めて、後から私も参加してできたチャンネルはまだ開設一ヶ月。
にも関わらずハイペースでファンは増え、フォロワー100人を目前にしている。現実で仲のいい友達には誰も知らせていない。自分たちの力でフォローを勝ち取ってきた。
フォロワー人数がリアルタイムで分かる画面を二人して見つめている。チャットで会話しながら100人になる瞬間を見届けた。
『フォロワー100人!!おめでとう宙!!』
『やったねマリン!!おめでとう!ありがとう!!』
喜びを分かち合う私たちに、一つのコメントが届いた。
『フォロワー100人目とったったー!
宙にマリン、覚えてる?ゆいなだよー!』
「………え?」
現実に引き戻された。
ゆいな、彼女は私と宙の小学校の友達だった。
『えー!!!100人目ゆいななのー?!どうやって知ったのー?!』
宙が呑気に返信している。
『何言ってるの宙。みんな知ってるし、みんなフォローしてると思うけど?』
『え?!!』
私も思わず食いつく。フォロワーを確認すると、小学校のときの親友たちと思われる人が三人ほど見つかった。
さらに、私とゆいなの通う中学校の友達も五人ほど私たちをフォローしていた。
すぐさまチャットにそれを打ち込む。
『嘘でしょ……』
宙の返信には、字面からさえ感じさせる寂しさが伴っていた。
そこにさらにコメントが来る。
『私たちね、このチャンネル友達に教えたの!皆、友達の友達の友達……みたいに繋がってるってワケ!偉いっしょ?』
絶句するほかなかった。宙も同じ心境だったようで、しばらくチャットもコメントも無かった。
それから私たちは、ゆいなを怒る気にもなれず、本当に誰にも知られない新しいチャンネルで同じような活動を始めた。今度は知り合いも見つけられなかったようで、フォロワー数はなかなか伸びなかった。
そして三ヶ月後、フォロワー100人目を迎えた。
『さ、ここからがスタートだよ宙!』
『もっちろん!頑張るぞーー!!』
最初のコメントを投稿しよう!