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放課後。じめじめしてだれも寄り付くことのない体育館裏。地面には雑草が伸び放題になり、壁は苔で覆われている。不良がそこまでいない高校では、ここに訪れるのは私を含めた二人しかいない。
案の定、部活帰りに私が寄ると先客がいた。カエデだ。教科書が入った重そうなリュックに、剣道の竹刀が立てかけてある。トレードマークの紺色なマフラーの端がふらりとゆれる。
「先輩……またですか」
「またって、いつものことでしょ」
口から紫煙を吐き出しながら、カエデが胡乱なまなざしをこちらに向けた。
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