ヨクアルハナシ

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 彼は賢い。  これまで自分が嫌な気持ちにさせられた出来事を、ざっくりとメモ書きに残していた。 「あー…ついに100枚目だよ、メモ書き」  これを果たしてどうしようか、彼は100枚のメモ書きを眺めながら考えた。  ちなみに、小学生のころ、1年分の嫌がらせをすべて担任にぶちまけたという過去がある。  当然、やったほうは担任に呼び出され、長時間にわたるお説教を食らっていた。 「いつ先生に見せようかなぁ。やっぱ、夏の三者面談かなぁ…んー…インパクト弱いかな。内申点に響くタイミングって何時だろう…?」  そう、彼は今回もやるつもりだ。  彼はこの春から中学三年生。  受験生なのだ。 「まあ、お子ちゃまレベルの嫌がらせだし、メチャクチャ長い説教か、親呼び出しくらいで終わるんだろうなぁ」  なんだか残念そうに彼は呟いた。
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