第3章「最後の手紙」
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第3章「最後の手紙」

「もしかして、お二人は“詩音”のことをご存知ですの?」 律花が問い掛けた。 「律花さんが言う“詩音”っていう子は、もしかして、ウィンストン王国の王立音楽院に留学したピアニストのことか?」 花蜘蛛が律花に尋ねた。 「ええ、ええ、そうよ。“高嶺詩音たかみねしおん”はこの子よ!」 律花は、ホールの壁に飾られたフォトフレームを指し示した。バニラホワイトのピアノを象ったフォトフレームの中には、あどけない笑顔を浮かべる二人の少女が写っていた。 ひとりは律花、もうひとりの、綺麗な黒髪ロングの少女は詩音で間違いない。 夜蝶と花蜘蛛は直接、詩音に会ったことはないが、詩音の恋人である“リチャード・オートン”が肌身離さず持っている写真で何度も見ている。 「詩音さんとは、彼女が留学した後も連絡を取り合ってらっしゃったの?」 「ええ。9年前までは頻繁に手紙のやり取りをしていたのよ」 「9年前まで?」 「ええ……連絡が取れなくなってしまったのよ……お二人は、9年前にウィンストン王国で世間を騒がせた“Dr.ハート”絡みの一連の失踪事件についてはご存知かしら?」     
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