最終章「ジニアの丘」
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最終章「ジニアの丘」

律花から“Dr.ハート”を討ち取る鍵となり得る“詩音からの最後の手紙”を託された夜蝶と花蜘蛛は、翌朝“月夜見之國“を発ち、“音楽幻騎士団”の本拠地があるウィンストン王国へ旅立つことにした。 旅立ちの日の早朝、律花と夜蝶と花蜘蛛は“音の花”から少し離れた場所にある“ジニアの丘”と呼ばれる小高い丘の上にいた。 丘には色とりどりの百日草の花々が温かな日の光を浴び、極彩色の世界を美しく創り上げていた。 「前から気になってたんだけど……律花さんは、毎朝この丘に来ているの?」 花蜘蛛が尋ねた。 「ええ……この丘にはね、詩音と私の想い出がいっぱい溢れているの。この丘でいっぱい笑って、いっぱい泣いて……詩音がウィンストン王国に旅立つ日の朝、あの子、私に誓ったのよ……『私、律花の分まで頑張る』って……」 律花の瞳から一筋の涙が零れた。 「一緒に、祈りませんか? 大切な人たちの無事を信じて」 夜蝶と花蜘蛛は大きく頷いた。 三人の朝影が、百日草の花々の合間を縫って長く長く伸びていた。 【完】