プロポーズ

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私はプロポーズをすると決意した。 その相手はフラワーショップの店員、蒼井水希(あおいみずき)。普段は少し不愛想だと感じるが、時折見せる可愛い笑顔のギャップが男を引き寄せる。 過去に何人もの男がプロポーズして、返事を貰えず撃沈したらしい。その理由は明白だった。彼女は超がつくほど鈍感で天然。プロポーズされた事さえ気づいていないのだ。 ストレートに想いを伝えれば冗談だと笑われ、遠回しでは何も伝わらない。 どうすればいい? いきなり結婚指輪を見せようか? いや、それこそ冗談だと笑い飛ばされてしまう。それに、指輪を渡すなんて平凡すぎる。過去に同じ事をした男もいるはずだ。 もっと、特別なプレゼントを用意しなければ……そうだ、花をプレゼントするというのはどうだろうか? 普通に考えればありきたりなプレゼントだが、私が調べた限りでは、彼女に花をプレゼントした男はいない。みんな、フラワーショップの店員に花を贈ろうとは思わないのだろう。それを逆手にとる作戦だ。 彼女の働く店で花を購入し、その場で渡してプロポーズする。よし、それでいこう。 では、どんな花を渡そう? 花は一つ一つ特別な意味を持つ。適当に決めてしまえば失礼だと捉えられ、嫌われてしまうかも知れない。それは不味いので、ネットで花言葉を検索してみた。 様々な花言葉が意外にも面白く、夢中になって調べる。気が付けば、多くの花言葉を覚えてしまっていた。その中で、特殊な花言葉を見つける。相手に渡す本数で意味が変わるという面白い花。それは、薔薇だった。
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