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まぁ お話でもしましょうよ
今から数百年も昔の事、ある噂が日本でひっそりと広まっていた。それは、気候や地形にとても恵まれている村があるという話、その村で野菜を育てれば必ず実をつけ、川で釣り糸を垂らせば数秒で魚が餌に食いつき、その村で育った鶏・豚・牛などは、何処を食べても美味しい。
その村は人々から、「恵みの村」と呼ばれていた、恵みの村の住人はとても優しく、どんな人とでも仲良くなれると噂に付け加えられているので、恵みの村に希望を求めて旅立ってしまう人が後を絶たなかった。
だが、そんな良いイメージばかりが飾られた恵みの村には、こんな噂もあった、その恵みの村に旅立ってしまった人々は、二度と返って来ない、少し不気味な噂。
だが人々はみんな口を揃えて、「恵みの村の居心地が良すぎて、元々暮らしていた村には戻れないのだろう。」と言うばかりなので、その噂を誰も不審には思わなかった。
だが実際、その「恵みの村」と呼ばれている場所は、人が長い時間滞在できる場所ではなかった、土地は痩せ、川や池では魚なんて1匹も釣れない、肉にできる動物も少ない。
それでもその場所が「恵みの村」と呼ばれ、人々が暮らしていける理由。
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