1/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

先輩は、傘を持っている。 雨の日も・・・。 晴れの日も・・・。 朝の電車の中で見かける隣の高校の先輩。 クールで、無口で、綺麗な顔立ち。 ちょっぴり悪っぽく見える仕草に、 心を奪われ、毎朝、 胸がキュンキュンしていた。 電車の中の20分が私の至福の時。 見ているだけで、幸せ。 朝日が、先輩の顔と相まって眩しい。 こんな晴れた日も、先輩は傘を持っている。 いつも一人で電車に乗っている先輩。 でも、あの日は、違ってた。 「よっ、久しぶり」 隣の駅から乗った 見たことのない制服姿の男の子は、 先輩に声をかけた。 「お前、まだそれ持ってんの?」 先輩は、少し笑った。 「いい加減、忘れろよ」 友達らしきその人は、先輩にそう言った。 少しの沈黙があった後、 「ほっとけよ」 先輩は、髪をかき上げながら、 少し真顔で、そう答えた。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!