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「···ただ、手紙のお礼を言えてないことを気にしてるようだったから、何かあたしも気になっちゃって···そのことを伝えたかったんだ」
そこまで言って美波は立ち上がると、制服のスカートを真っ直ぐ伸ばし鞄を手にした。
「突然お邪魔してごめんね。じゃあ、あたし帰るから、それ、ちゃんと食べて元気出してね?」
笑顔で首を傾げ、奈緒を覗き込むと、手を振り扉に手を掛けた。
「待って」
奈緒は振り返った美波にもう一度言った。
「待って、笹井さん」
美波は鞄を置くと、立ち上がり引き出しを開けて何かを探す奈緒の隣へ立った。
「これ、見て」
差し出された一通の手紙。
貰った手紙を、ずっと仕舞っていた。
中を開き見た美波が驚きの表情へ変わる。
「あたしの名前?」
大きく頷く奈緒の前、美波は暫く考え込み、それから徐ろに鞄からノートとペンを出すと、同じことを書いた。
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