第四章

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奈緒は、御守りを宝石箱に仕舞おうとした。 瞬間、手が止まる。 奥に、ロケット型のペンダントが入っていた。 不自然だった。 並ぶ宝石の趣味とは明らかに違うそのペンダントは、何となく、男の人が身につけそうな物。 手に取ると、イニシャルが見える。 Yー? 「泰智(やすと)...お父さん?」 いや、それとも、由紀のY? もしかして、伝えたかったのは、これなの? 顔を上げると、母は少し悲しげな表情で消える。 「待ってお母さん!」 叫ぶ奈緒に気付いた博子が和室を覗く。 「これだけじゃ、わからない、、」 奈緒は、その場に座り込んだ。 「...ちょっとそれ!」 博子が血相を変えて奈緒からペンダントを奪い取る。 「何するの!?」 奈緒は博子に飛び掛かった。 ペンダントを奪い返すため、博子の手を掴む。 「勝手に入り込んで来て、挙句の果てにお母さんの物まで奪うつもり!?」 負けじと押し返す博子が奈緒を突き飛ばした。 「それは!あなたのお母さんの物じゃないわ!」 凍りつくほどの声色だった。 「どういう、、こと?」 「...あなたには、関係のないことよ!」 奈緒は博子をまた掴む。 あのロケットの中、 あの中に、何かがあるはず。 奈緒は中身を見るため、博子からペンダントを奪い取った。 「やめて!」 博子の声が響いた。 奈緒はペンダントを開いたー、
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