第六章

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制服のままベッドにうつ伏せになり、奈緒は暫く眠っていた。 ふと目が覚め、視線の先にある時計を見て起き上がる。 「歩生...ちゃんと帰ったかな...」 夢なら、今頃あたしは亜美とカラオケで騒いでて、もうすぐ携帯が鳴る。 時間の過ぎる感覚に居心地の悪さを感じ、奈緒は母から貰った御守りを探した。 「ない...」周りを見て、ポケットを探るも出てこない。 「...」違和感にようやく気付いた奈緒は、慌てて立ち上がった。 その時、気付いてしまった。 震えるスマホの画面に映る歩生の文字。 慌てて耳にあてる。 「奈緒ちゃん!?歩生が...」 「...嘘、でしょ...」 歩生が事故に。歩生が事故にあって、病院に運ばれた。 あの時と、全く同じシーンだった。 回想される悪夢が真実なのか、今、夢を見ているのか、 怖いぐらいに心が怯える。 おばさんの言葉を二度聞いた奈緒は、その場に崩れ落ちた。 「奈緒ちゃん、歩生が...どうすれば...」 おばさんの泣き声で我に返った。 「落ち着いておばさん。すぐに向かうから、待ってて!」 奈緒は携帯をポケットに入れると、すぐに立ち上がった。
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