40人が本棚に入れています
本棚に追加
制服のままベッドにうつ伏せになり、奈緒は暫く眠っていた。
ふと目が覚め、視線の先にある時計を見て起き上がる。
「歩生...ちゃんと帰ったかな...」
夢なら、今頃あたしは亜美とカラオケで騒いでて、もうすぐ携帯が鳴る。
時間の過ぎる感覚に居心地の悪さを感じ、奈緒は母から貰った御守りを探した。
「ない...」周りを見て、ポケットを探るも出てこない。
「...」違和感にようやく気付いた奈緒は、慌てて立ち上がった。
その時、気付いてしまった。
震えるスマホの画面に映る歩生の文字。
慌てて耳にあてる。
「奈緒ちゃん!?歩生が...」
「...嘘、でしょ...」
歩生が事故に。歩生が事故にあって、病院に運ばれた。
あの時と、全く同じシーンだった。
回想される悪夢が真実なのか、今、夢を見ているのか、
怖いぐらいに心が怯える。
おばさんの言葉を二度聞いた奈緒は、その場に崩れ落ちた。
「奈緒ちゃん、歩生が...どうすれば...」
おばさんの泣き声で我に返った。
「落ち着いておばさん。すぐに向かうから、待ってて!」
奈緒は携帯をポケットに入れると、すぐに立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!