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「...凪野さん、ですよね?」
口火を切ったのは比内さんだった。
「今、大事な話をしてるので、後にしてもらえませんか?」
怒ったようなその口調に、奈緒は真っ直ぐ視線を起こす。
「ごめん。あたしはもっと大事な話なんだ。」命が懸かってるんだ。
絶対に退かない。
そう、ぎゅっと拳を握る。
「奈緒、どうした?」
歩生は心配そうに言葉にした。
こんな奈緒を見たことがなかった歩生の本音だった。
「比内さん家どっち?」
奈緒の勢いに二人は怪訝な表情を見せた。
「家、どっち?」
「あの、何で今それを?答えなきゃいけないですか?」
奈緒は頷くと、言葉を繋げた。
「駄目だよ。言わないと。じゃなきゃ、ずっと着いて行く」
「おい、どうしたんだよ奈緒」
その空気を察した歩生が二人に割って入った。
「邪魔する気、ないんですよね?」
「それは...そうなんだけど、」
何て言えば伝わるのか、どう説明すればいいのか、奈緒は焦り始めた。
「それなら、いいです。凪野さんも聞いててください。」
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