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「そりゃあ心配してるよ?じゃなきゃわざわざ来ないって!」
奈緒は独り言を勘違いしてくれた美波に感謝しながら、滲む涙を拭った。
その様子に、美波はハンカチを手渡し、ふぅっと息を吐いた。
「あのね、凪野さん」
受け取ったハンカチを握り締め、どこか急に真面目になった美波の言葉を待つ。
「あたし、昨日ずっと考えてたんだけど、やっぱり凪野さんに手紙渡してないんだ」
「···うそ」
「や、嘘なんてつかないし。そもそも手紙には何て書いてあったの?」
「友達になってって···」
数秒言葉が返ってこなくなり、見つめ合ったまま時間が過ぎる。
唖然とした表情から一転、美波はクスクスと笑い始めた。
「それやっぱりあたしじゃないよ。だってあの時、あたしは凪野さんと友達になりたいなんて思ってなかったよ?」
さらりと失礼なことを言った美波は、すぐに否定の言葉を付け加えた。
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