死へのカウントダウン

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「いかんいかん……」  彼は涙をぬぐって首をふった。今日は大事な重役会議(じゅうやくかいぎ)がある。こんなところで禁断(きんだん)果実(かじつ)をかじっている場合ではない。もうすぐ駅につく。気を引きしめて戦いにそなえなければならない。 そう思いなおした瞬間――腹部に電撃(でんげき)がはしった。  強烈な痛みに宗男は目をみひらいた。魔物だ……。腹のなかに魔物がいる。(おり)に閉じこめてあるはずの怪物(もんすたー)は、格子を()じまげ、看守(かんしゅ)を吹きとばし、肛の門から脱出しようとしている。
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