死へのカウントダウン

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死へのカウントダウン

 毎朝おなじみ通勤ラッシュ。急行の電車は乗車率100%を軽く超え、企業戦士(サラリーマン)たちは地獄(でんしゃ)に囚われたまま戦地(かいしゃ)へと挑む。  電車内で高橋宗男(たかはしむねお)は全神経を背中にそそいでいた。  二つのやわらかいなにかがあたっている。それはチンパンジーの尻でも風船の(たぐい)でも、まして野郎の胸でもない。(まが)うことなき女のバストだ。その大きさは豊満(ほうまん)。感触からいって100センチを超えるEカップであると宗男(むねお)は分析していた。 社会人歴三〇年。希望のない奴隷(どれい)じみた生活のなかで、まさかこんなエデンの(その)があったとは……。  宗男の(ほほ)をひとすじの涙がつたう。
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