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「ここって、アルコールも出すんですか?」
隣に座るキャスパの頭を撫でながら珈琲が入るのを眺め、ふと聞いてみた。
「どうして?」
マリアさんは珈琲を淹れる手を止めて、不思議そうに返す。
「いや、だって.....」
だって、カフェなんでしょう?と言おうとしたら。
「アルコールは無いわよ。
日本人に、サロン・ド・テは馴染みが無いでしょ?」
「だから、カフェですか…」
「まっ、そう言う事。
日向くんて、面白いのね。
さっきも、キャスパって聞いて魔法の7柱なんて。
中々、思い付く人は居ないわよ」
「キングオブスコッチ、酒好きなら知ってるんじゃ無いですか?」
「ないない、バレンタインは知ってても、どこのスコッチをブレンドしてるかなんて」
珈琲を置きながら、可笑しそうに笑う。
カップを取って一口、珈琲の良い香りが鼻を抜け口に含んだ液体と結びつき、酸味と苦味、微かな甘みが味覚を目覚めさせる。
「あー、美味い」
思わず、ため息の様に漏れた。
「ありがとう。
この店自慢の、ソルシエールブレンドよ」
「魔女?」
やっぱ魔女なんだ。
「あらぁ、それはナイショ」
言いながら、クスッと笑う。
も、もしかして、天然?
自分でソルシエールブレンドって!
そもそも、カフェ・ソルシエールマリアって店の名前は、日本語にしたら"魔女マリアの喫茶店"なんですけどね。
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