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エンディング
数日後――。
書類の重要個所に蛍光ペンでラインを引いたり、何やら記入をしたりと事務業務をこなす我里久。
その左隣のデスクではパソコンのキーボードをたたき、書類作りに勤しむ志賀。
このまま順調に業務をこなせるかと思われた刹那、
「?!」
驚愕に目を見開く志賀。キーボードを叩く指が止まる。
そして、怖ず怖ずと困惑を含ませた声音を右隣に投げた。
「部長……」
「なんだ?」
「パソコンが……」
「は?」
口で説明をする代わりに、モニターを指差す志賀。
訳がわからないまま、我里久は席を立って志賀のモニターをのぞきこむ。
画面には見たこともないエラーメッセージが現れていた。
我里久がマウスを動かしても、キーボードをたたいても硬直したままの画面。
「……お前、変なサイトでも見てたんじゃねぇよな?」
「み、見てませんよっ!」
「ほんとかぁ~?」
必死に否定して手を振る志賀を茶化した口調でいじりつつ、なんとか解決させようとあの手この手を試す我里久。
そして、その様子を不安げに見守る志賀。
お互いの肩がくっつきそうなほどの距離。
そんな二人の口からは清涼感あふれる爽やかな息が溢れ出ている。
こうして魔王と勇者の絆は少し深まったのであった――。
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