探り合い

3/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
女性客「さっきから貴方が自分のシャーペンをくるくると回しているかと思えば、私のシャーペンを覗くようにご覧になっているので・・私もつい気付いてしまったのです」  私の行動も彼女に観察されていたようだ、もしかして私に関心があるのだろうか・・ 「実は私もよく似ているな・・でもイニシャルまで同じなので・・」 女性客「私は構内の購買部で買ったんですけど・・先生は?」 「えっ、先生って、びっくりした・・どうしてそれが?」 女性客「だって、首から大学の職員証がぶら下がったままですもの」 「あっ、ほんとだ、恥ずかしい限りです・・」私はあわてて職員証を取り外して彼女に確認していた。 「もしかして名前もご覧になったとか?」 女性客「ええ、拝見いたしましたよ・・村田先生でしょ」 「ん~と言うことは、もしかしてあなたも教員ですか?」 女性客「いいえ、私は外部の人間です。カルチャー教室に参加している生徒でも言いますか・・」 「なるほど・・ところで何を習っておられるのですか?」 女性客「それは内緒です・・それはそうと先生は関西の方じゃありませんよね」 「どうして・・」 女性客「私もそうですが、話のなかでは関西弁が出てこないもの」 店員「お待たせしました・・」 彼女が頼んだ飲み物がテーブルの上に置かれたが、店員は引き続きこうも言った。 店員「すみません、カルボナーラが出てしまってオーダーストップになっていました」 女性客「えっ、ほんと?残念だわ・・でも仕方ないわね、あとでラーメンでも行くとしますか・・」 「あの・・良ければ僕も付き合いますよ、そのラーメン屋さん」 女性客「あら、先生って家でご飯食べないの?奥さん待っていらっしゃるのでは?」 「すみません、実家は横浜なんです。それにまだ奥さんが居ないもので・・」 女性客「それなら村田先生に、ご一緒お願いしようかしら・・ラーメン屋さん!」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!