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ええ天気やなぁ、ほんまやな。
昨日と同じ場所で、昨日の空の色と雲の散らばりを思い出そうとしてみたけども、まったく一欠片分も思い出せやせんかったわ。
いや。正確には「思い出せる筈がなかった」というのが正しいかもしれん。
俺は一度は目に写し込んだはずや。昨日のあの空を、雲を。確実に、正確に。
「ええ天気やなぁ」の一言が溢れたことも覚えてる。
でもその後の事があまり思い出されへんねん。
ほんと、なんでやねん。
ああ、いや。これはつっこんでんのとはちゃうねんで?
「じゃあなんやねんこれは」て言われると説明し難いが…。
まあ、ただの癖やがな。だからとっとと忘れてやー。一人言やから誰に言うてんねん、やけどな。ああ、ヒジョーに寂しー。
――もう、言葉選びも、喋りの間も、言い訳がましい補足の説明も、まるで意味がないな。もう横には誰もおれへんもん。
これは、ただの自己満足の悪癖へと成り下がってしまった一人言。社会で生きていく上では全く必要とされていない、むしろ邪魔なもの、邪魔者。
『…つまり、今の俺自身と同じ。ってことやな』
やかまし。出てくんな……。もうええわ……。
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