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てかよう考えたら、今、昨日と同じ時間やねんな。
『昨日の今日やろ、なんで忘れててん』
なんでやろな。
『分からんのんかい?』
ああ、まったく分かれへん。
もし分かるなら、なんでかを教えてくれ。
『いや、俺も分からんから言うてんねんけど』
さよか、ほな一回黙っといてくれ。頭ん中でゴチャゴチャ邪魔くさいねん。
――いつもと違うってことは流石に分かってたわ。
なぜなら、一週間前のネタ合わせに相方のお前は来なかったからな。
漫1グランプリの予選に向けて、ネタの事だけを常に考えてた。
チケット代ノルマさえ払えば、素人でも誰でも出られるようなライブにエントリーを繰り返して、何とか勝ち上がれるネタを仕上げようとしてた、この五年。
結局……、ネタなんて一個も形にはならんかったわ。
だから毎年一回戦落ち。
新ネタを、ライブで試してみては、まるでウケず、すぐ捨てた。
また作っては、また捨てる。
そんな繰り返しの日々。
相方はいつも文句ばかり。
言われた通りすらでけへんくせに、ポンコツのくせに、いつも偉そうに。
ただな。ネタ作ってるのは俺やぞ。
「ツッコミに頼りすぎてる」だの、「ここのテンポが速いからお客さん置いていく」だの。お前に何が分かんねん。
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