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そもそも。
お前が一回でもネタ作って来たことがあったか?
ふざけんなよ。
なんも分かってへんやんか。
お前には俺の全てが分かっていてほしかったのに。
俺の才能を認めろよ。
俺は、お前みたいなやつとでもずっと漫才していきたいって思い続けてあげてたのに……。
解散しやがって、ちくしょう。
才能もセンスの欠片も全く皆無の奴でも、俺のカリスマ性さえあれば関係ないと思ってた。好きにやりたいようにやってても売れる自信があった。
だから一年目に事務所とケンカしたときは何も迷わずにすぐ辞めた。
引き立て役のお前が、俺の横に立って笑ってくれてさえいれば、それで充分なんや。それだけで客にも伝わる。
そう思ってた。そう思い込んでた。
でも俺は、そうだとは思い込み続けれなかったみたいや。
バカになりきれなかったんや。
俺はお前をこの世界に誘った責任があったしな。
漫才でウケない日々を、「仕方ない」と思えなかったわ。
相方のお前のツッコミがヘタなせいで笑いが逃げてる、としか考えられなくなった。だから毎回厳しく指導した。
お前は、次第に俺の横で笑わなくなったな。
でも、多分俺が先に笑わなくなったからなんやろな、きっとそうやろ。
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