四章

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「がっ!?」 鉄の塊の感覚が消えて振り向くと、デズモンドが疼くまって膝を抱いていた。正気に戻った俺は銃を拾い正面の三人を無力化する。 足下でルイーズが苦悶の表情を浮かべながら痺れた手を押さえていた。 「ルイーズ、よくやった!」 俺は物も言えない彼女を抱えてデズモンドの脇を抜ける。ここから出てしまえば、後はこちらのものだ。 地下の階段を駆け上がり、一階の談話室らしき部屋の小窓を開けて飛び降りる。照明や感熱センサーは先に逃げたアッカーが壊しておく手筈になっていた。そこそこ律儀な性格だったらしい。 「しめた……!」 大型トラックが倉庫前で荷物を降ろしている。 「悪気は無いが、貰うぞ」 呆気に取られている運転手達をよそにルイーズを助手席に乗せ、彼らを少々眠らせて車のエンジンを入れる。 「悪いルイーズ。脚の怪我、朝まで耐えられるか?」 傷から菌が入るからさっさと弾を抜いてしまいたいのだが。 「大丈夫……シャンもちゃんと、手当てするからね」 額から汗を流しながらにっこり微笑む彼女の肩に触れそうになる手を慌てて引き戻す。まだその時じゃない。
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