二章

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俺の懇願を冷めた目のまま聞いていたデズモンドはゆっくりと問い掛けてくる。 「お前、人を殺し慣れているな。ここに来るまでに、どうして一人も殺さなかった? 全員、急所を外していただろう」 「……必要がなかったからな」 自分を助ける為に人が殺められたと知ったら、絶対ルイーズは自分を責めると思ったからだ。 デズモンドは腕時計をチラリと見ると俺に向き直る。 「そんなに甘い性格には見えんがな……いいだろう。100分時間をやる。100分後に、その女を連れてこのアジトを脱出できたなら、その後は放っておいてやる。100分を超えた後のお前たちの命は保証しない」 離してやれ、と彼が命じて俺を解放してくれた。 「……好きに動き回っていいんだな?」 「可能ならな」 俺は着ていたシャツを千切り傷口を縛る。 「必ず見つけてやる」
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