二章

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二章

そのまま俺は薄暗い地下室に連れられる。これ見よがしに置いてある(かせ)の類や電気椅子は、汚れも錆びも少なく使い込まれた風がない。単なる威嚇の目的で置いているのか、あるいは新調しただけなのか。 「連れて来ました、デズモンド様」 床に踏みつけられた俺は、デズモンドという男の顔を見る。背筋は真っ直ぐだが、狡猾そうな狐面に刻まれる深い皺、昏い瞳、明らかに好々爺ではない。 「……シェイタナ社の組員にウチに単身乗り込んで来る馬鹿がいたんだな。腕が立ったと聞いている。もう少し賢ければ良かったのに」 嫌味に付き合っている余裕は最早ない。 「……ルイーズはここに居るのか。無事なのか」 「連れて帰った女の名前なんて把握している筈は無いだろう」 「金髪の! ……グレーの瞳の、色白の女だ!」 違いがわからんと一蹴されるかと思ったが、デズモンドは案外すぐに彼女を思い出す。 「グレーの瞳……あぁ、そういえば一際可憐な女がいたな。あいつか」 そこで話は、冒頭と繋がっていく。
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